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ワインはトスカーナに始まり、トスカーナに終わる。
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白川教授、ワインを語る。
第1回(2003.6.24 updated)

ワインはトスカーナに始まり、トスカーナで終わる。…ワインほど、人生を癒してくれるものはない。

食事があって、ワインがある。

故トスカーナなのでしょうか。色々なワインを楽しんでいますと、ワインは「トスカーナに始まり、トスカーナで終わる」のでは、と予感するのです。(まだ、予感の段階です)

タリアワインの2大生産地の一つとして紹介され、キャンティ、キャンティ・クラッシコ、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ等著名な“DOCGワイン”のほか、サシカイア、ソライア、ティニャネッロ等々キラ星のようなスーパー・トスカーナワインを産出するこの地域は、ワインを始める人にとっては魅力的であり、入りやすいところです。でも、それだけでは何故「トスカーナから始まり」ということの答えにはなっていません。何故「ボルドーやブルゴーニュから始まり」でないのかの答えにもなっていませんね。

ぶどう収穫風景えは、トスカーナでワインを楽しむと「食事があって、ワインがある」という基本が分かるからです。ご存知のとおり、フランス料理の源となったイタリア料理をかの地に伝えたのは、1533年のカトリーナ・ディ・メディチの嫁入り(後のフランソワ2世との結婚)でした。トスカーナの盟主メディチ家は、経済や芸術だけでなく料理の発展にも多大な貢献をしており、当然その影響はトスカーナ全域に及んでおります。さて、トスカーナとひとくちに言っても都市国家がいくつもあり、敵対したり、連合したりしながら歴史を歩んできたわけですが、共通していることは、どこも郷土料理がありそれにあったワインを持っているという点です。

すから、どの地に行っても地の料理とそれに合う地のワインに出会えます。ここが英国への輸出で繁栄の基盤を築いたボルドー、パリの宮廷向けワインで評価を得たブルゴーニュと違う点です。それらはワインの地域性はあっても、残念ながら美味しい郷土料理はほとんど発展しませんでした。ワインをワインのみで賞味し評価するのでなく、料理とともに楽しむという基本をトスカーナでは体験できます。この基本が忘れ去られ、ワイン批評家の点数がひとり歩きしている現状は滑稽でもあり、残念です。

光と陰、日常と非日常 モンテプルチアーノの風景
て、それでは何故「トスカーナで終わる」のでは、と予感するのでしょう。やはり、何故行き着く先がボルドーやブルゴーニュでないのでしょう?その答えは、少し精神的です。

象的な答えは、「トスカーナは、光と陰、日常と非日常がはっきりしているから」です。

ィレンツェ、ルッカ、シエナ、ピサ等々の個性と芸術溢れる古い街がある一方、すぐそばに牧歌的なぶどう畑や、オリーブ畑、糸杉の丘陵地を残す精神性。都市生活にふと息詰まったときに逃げられる場所を残しておく知恵。こんな大きな区分けで説明するまでもなく、たとえば芸術が街にあふれるフィレンツェは、それ故に息苦しさを感じますが、そんな中にも心を解放できる場所がたくさんあります。

ういうところでワインを楽しむとワインが日常から非日常への、リアルな世界からファンタスティックな世界への架け橋となっていることに気づきます。このワインが持っている精神性を頭で理解するのでなく、肌で感じることができるのがトスカーナです。日常と非日常の区別があいまいなボルドーやブルゴーニュでは、この肌感覚は得られません。

生はつらくて疲れることが多いもの。そんな人生の中で、トスカーナで料理とワインを楽しむと「ファンタジアを持つこと」がいかに大事であるかが分かります。

んな訳で冒頭に書きました「ワインはトスカーナで始まり、トスカーナで終わる」と予感している次第です。なぜトスカーナなのか?の答えになったら幸甚です。(海老)

■DOCGワイン■
「Denominazione di Originr Controllata e Garantita 」の略で、イタリアの国による厳しい検査に合格したワインだけが名乗ることができる。原料のぶどうの産地や品質、ワインの醸造方法、熟成期間などが決められており、色、香り、風味などのレベルを満たしたものだけに認められるもの。

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